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デコラティブペイントという仕事

 デコラティブペイントとは、テーマに合わせて室内外のあらゆる場所に装飾的なペイントを施す仕事です。木目大理石を描くフォーフィニッシュ型紙を使用し繰り返しパターンを描くステンシル、何色もの色をブレンドし塗り重ねたりと、様々な技法を組み合わせてゆきます。天井画、壁画等の環境絵画や、トロンプロイユといった視覚効果を生かした絵など、その手法は数限りなく存在します。画材から建材まで幅広い材料の性質を生かしそれらを組み合わせ、ここにしかないオーダーメイドの表現がデコラティブペイントです。

 バチカン宮殿等の室内装飾に代表されるヨーロッパの伝統工芸として、デコラティブペイントは受け継がれてきましたが、今日でも建築、室内装飾美術において重要な役割を担っています。現在日本では主に商業施設での需要が中心ですが、欧米では一般住宅においても大きなシェアを占めており、材料の開発も非常に積極的に取り組まれています。毎年数回欧米各地でデコラティブペイントのコンベンションが開催され、メーカーをはじめアーティスト達が独自の表現を披露しています。ワークショップなども各地で開かれ、プロになるための協会やスクールが多く存在しています。日本ではまだあまり知られていませんが、デコラティブペイントは、歴史のあるグローバルな分野なのです。

 

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空気に馴染ませる絵的表現

”Nothing but something.”

 私たちの仕上げは、しばしばこの文章で表現されます。照明計画やインテリア全体の趣旨を把握した上で、微妙なニュアンスを表現する。それが、『何もなされていないようだけれども、確かに何かを感じる』という意味合いです。額縁に入った鑑賞的な絵画と違って、空間のデザインを壊すことなく空気に馴染ませる、という事が最も大切な事です。

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-©Susan Arnild

 

色の力、絵の力

 「瓶覗」「時雨の色」など、古くから素晴らしい慣用色名があるように、日本人は色への感覚に対し非常に研ぎ澄まされた文化を持っています。色の持つ力が、日本人の心理や生活に多岐にわたり深く影響を及ぼしてきた証しです。
 また、絵の持つ力も、色という心理的な作用を含み込み、空間にとって大きい役割を果たします。絵のデザインや内容によって見る人に希望や癒しを与えたり、測り知れない可能性があります。人通りの少ない街角や、工場のブロック壁が続く場所などに、壁画を施すことによって、親しみやすい環境を生み出す事が出来ます。
壁画の効果に着目した女子美術大学メディア・アート学科の山野雅之教授は既にヒーリングアートという活動に取り組んでいます。それらは情緒的で安らぎを感じる特別な空間に生まれ変わります。

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心地よさを求めて

 2012年5月、デコラティブペイントのアーティストたちが世界中から東京に集まります。デコラティブペイントのマスターだけで構成されているインターナショナル・サロンの祭典が初めてアジアで開催される予定です。国の東西を問わず、多くの人が心地良さを求め制作活動を続けています。
 私たち人類は、アルタミラなどの洞窟壁画から始まり、長い歴史の中で常にアートに取り囲まれ生きてきました。どんなにテクノロジーが発展しても、人の手で施されたものには特別なエネルギーがあるのだと思います。

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-©Susan Arnild

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